・竜ヶ崎線在来車
キハ532(左)とキハ531
キハ532(左)とキハ531。キハ531は休車中で腐食が進んでいます。
2000.6.10 竜ヶ崎駅にて撮影
 1997年3月にキハ2000形が入線するまでの長い間主役の座にあったのは片運転台2両編成のキハ521+522と、両運転台のキハ531、532の計4両でした。新潟鉄工で国鉄キハ20系列の部品を流用して新製されたキハ532形以外はいずれも昭和45年に琵琶湖の西側を走っていた江若鉄道(湖西線建設のために廃止されたらしい)から譲り受けた車両で、大栄車両にて車体新製を行っています。
 キハ2000形の登場により2両編成を組んでいたキハ521+522が1997年3月末に廃車、キハ531は休車(1998年5月頃から)を経て2001年4月に廃車、キハ532は第2・4土曜と日曜の朝の固定運用を経て現在ではホームページ上での予告登板で毎週土曜昼間の運用となっています。
 キハ532は2002年にスカートが追加され、2013年3月には機関換装が実施されました。この改造により関東鉄道のDMH17系エンジンが全廃となりました。
 キハ520形(キハ521)加速音[knt521a.ra/263KB]
 元は国鉄のキハ42000形という車両で、当時は150psのガソリンエンジンGMH17に機械式の変速機が搭載されていたそうです。 その後江若鉄道を経て昭和45年に竜ヶ崎線に入線、昭和46年にワンマン化され、 昭和47年に現車号に変更(このときまではキハ5121)、昭和50年に車体新製となったようです。 エンジンのDMH17B形への換装は江若鉄道在籍中の昭和35年に行われ、昭和41年に総括制御車化されているそうです。
 キハ520形は片運転台車で、このキハ521は竜ヶ崎側を向いています。 ただ、残念ながら1997年3月のキハ2000形2両の投入で廃車になってしまいました。
 録音は竜ヶ崎行きの列車の、入地発車時のものです。録音した時はなぜか、途中で再加速しています。 確か途中の遮断機も何もない踏み切りを突破しようとしていた車がいたんだったと記憶してはいますが…。 その割にはそれなりの速度には達していたようにも思うわけですが…。
 キハ520形(キハ522)加速音[knt522a.ra/270KB]
 こちらもキハ521とほぼ同様の経歴をもっていますが、江若鉄道に入線する前に長門鉄道を経ているそうです。総括制御車化が昭和40年であるほかはキハ521とほぼ同様で、このキハ522は佐貫側に運転台がありました。
 録音は佐貫行の列車の入地発車時のものです。実はこの車両だけ少しエンジン音の雰囲気が違うように感じていたのですが、録音したとき(実は引退寸前!)には普通の音に戻っていたようでした。実車が既にないので謎だけが残ったという状況です。
 キハ530形(キハ531)走行音[knt531a.ra/976KB]
 江若鉄道が昭和6年に自社発注したキニ6という車両だったらしく、キハ520形と同じく昭和45年に入線し、 昭和47年に現在の車号に(それまではキハ5123)、昭和52年には車体新製しています。江若鉄道在籍中の昭和30年にDMH17B形エンジンへの換装が行われているようです。
 キハ2000形導入直後の廃車は免れたものの1998年の5月頃を最後に運転されておらず、休車になっていたようです。台車が板バネのTR29であり、キハ532と比べても見劣りすることもあると思われますが、そのまま運用復帰することなく廃車となってしまいました。
 録音は竜ヶ崎→佐貫の全区間のもので、キハ2000形登場の約1ヶ月前の録音です。
 キハ532形(キハ532)走行音[knt532a.mp3/6.77MB]
 1981(昭和56)年に国鉄キハ20系列の機関、台車等を流用して新潟鉄工にて新製された車両で、キハ531と似たような車体ではありますが、幅が少し広く、ドア配置も異なります。キハ2000形投入以前に行われていた3両運転にこの車両が使われたりするとその大きさの違いがよく分かったものでした。
 エンジンは竜ヶ崎線ではこの車両だけがDMH17C形で、変速機もこの車両だけ新潟コンバータのDF-115を搭載しています。もっとも、エンジンに関しては予備部品がすべてC形互換のためB形を積んだ車両もC形相当にはなっているはずですが…。
 録音は竜ヶ崎→入地→佐貫間です。キハ2000形登場後の録音で、2000形の紹介で分類している運転士Cによる運転になります。
 キハ532形(キハ532)走行音(直結再加速)[knt532b.mp3/6.89MB]
 佐貫発車が遅れやすい時刻の列車で、キハ2000形の紹介で言うところの運転士Eによる走行になります。
 録音は佐貫→入地→竜ヶ崎間です。佐貫発車時はキハ2000の時と同じようにカーブ通過時に一度ノッチオフしています。その後はフル加速と思われる迫力で、直結段で一度ノッチオフ後、変直レバー「中立」で一瞬ノッチ操作することで空噴かしを入れ、そこから直結段での再加速をしています。入地発車時も同様に直結段での再加速をしています。この車両の録音としてはこれ以上のものはないと思っています。
 キハ532形(キハ532)走行音(機関換装)[knt532fa.mp3/7.07MB]
 2013年にDMF13HZ機関に換装された後の録音です。キハ350形、キハ0形、キハ310形等と同じくエンジンのみ換装し、変速機は従来の国鉄仕様のままであるため、性能の向上は限定的で運転操作も従来通りと、残念な仕様のままになっています。音の雰囲気で言えば元が縦型エンジンで点検蓋があるキハ0形や310形と似ていて、インタークーラーターボエンジン特有のエアー音のようなものはよく聞こえてきます。静かになったわけでもなく、独特のアイドリング音はなくなってしまうし、この車両の希少価値を大きく減らしてしまう改造だったと思います。個人的には、どうせやるなら変速機も換装してキハ2000形との取扱いの差をなくしてしまった方がいいと思うんですがね…。
 録音は佐貫→入地→竜ヶ崎間です。特に再加速等もなく、変わった走りはしてくれていません。と言うか、現行の所要時間7分に乗れてないし…。
 キハ531機関始動音(失敗)、532アイドリング[knt531sa.mp3/1.35MB]
 確か終列車後だったと思いますが、キハ531のエンジンを始動させようとするもののうまくいかない様子でした。また、キハ532もアイドリング中でした。「カランカラン…」が鳴り続けている脇でセルモータを回してもエンジンがかからず苦戦している音が聞こえてきます。
・その他の写真
 2両編成の竜ヶ崎側となるキハ521です。片開き3扉で、先頭部は乗務員室のすぐ後ろに客用ドアがあります。
 1997.2.18 竜ヶ崎駅付近にて撮影
 こちらは佐貫側を向くキハ522の写真です。本当は編成写真にしようと思っていたのですが、この頃は本当に写真下手過ぎでした…。
 1996.9.4 竜ヶ崎〜入地間(知手2号踏切付近)にて撮影
 キハ531です。いつ見てもこの場所から動く様子がありません。車輪踏面にも錆がのっているくらいで、運用に復帰させる気はもうないのでしょう。
 1999.1.28 竜ヶ崎駅付近にて撮影
 運用されていた頃のキハ531です。
 1996.9.4 竜ヶ崎〜入地間(知手2号踏切付近)にて撮影
 こちらは現在でも週末などに運用をもっているキハ532です。まだスカートが装備される前の写真になります。
 1999.7.18 竜ヶ崎〜入地間(知手2号踏切付近)にて撮影
 キハ532のスカート装着後の写真です。
 2002.12.15 竜ヶ崎〜入地間(知手2号踏切付近)にて撮影
 キハ2002と併結運転するキハ532です。
 2004.8.20 竜ヶ崎〜入地間(知手2号踏切付近)にて撮影
 機関換装された後のキハ532です。もう少し前だったようですが、竜ヶ崎方の車号標記が向かって右側から、向かって左側に変更されていました。関鉄では一貫して向かって右側だったので、運転席側への移設と言うことだとは思うものの、どうしても違和感があります。
 2013.12.31 入地〜佐貫間にて撮影
 竜ヶ崎線在来車に共通の縦型のDMH17系列機関です。写真右側に駆動軸があります。キハ531での撮影ですが、右端に少しだけ写っている車輪がすっかり錆びているのがわかると思います。
 1999.7.31 竜ヶ崎駅付近にて撮影
 キハ532の換装後のエンジン(DMF13HZ)です。配管の具合などはキハ310や0とも違うし、2000形や2100形などとも違うし、5000形とも違うし、というわけで、搭載する車両に合わせていろいろ変えてるみたいですね。シリンダヘッドの手前にエアクリーナと思われる物が吊り下げられていて、本当に目立ちますね。
 2013.12.31 竜ヶ崎〜入地間にて撮影
 写真はキハ531の台車ですが、キハ521・522も同形態のものを装備していました。キハ532だけはキハ20系列の流用であるためコイルバネ台車です。
 1999.1.28 竜ヶ崎駅付近にて撮影
 キハ532の台車です。こちらはキハ20系からの流用であり、国鉄気動車標準のコイルバネ台車であることがわかると思います。
 2013.12.31 竜ヶ崎〜入地間にて撮影

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