・205系(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
クハ204-1以下11連
側面の窓が2段窓の量産先行車、クハ204-1以下11連
2002.6.9 山手線御徒町駅にて撮影
 1985(昭和60)年、山手線に回生ブレーキ付の新車を入れるにあたり、201系と比べ大幅なコスト削減を目指して設計された通勤形電車です。国鉄では初めてのオールステンレス車体やボルスタレス台車の採用、制御方式も従来の直流直巻モータを使用できる界磁添加励磁制御を用いるなど、様々な新機軸を盛り込んだ車両で、山手線に続いて東海道・山陽緩行線に投入され、JR化後も阪和、横浜、南武、埼京、中央・総武緩行、京浜東北、京葉、武蔵野、相模の各線に投入され1500両弱の勢力に発展しました。
 増備途上では、動力関係では抵抗器の形状が変更されたり、モータが初期車の外扇形から低騒音の内扇形に、それと前後して室内の主電動機点検蓋が廃止されたりと、大小様々な改良が加えられています。
 現在では山手線や東海道・山陽緩行線といった初期投入線区に後継車種が投入され、余剰車は他線区に転配され、中にはVVVF改造や、ステンレス車では難しいとされていた先頭車化改造された車両もあります。
 モハ205-24(外扇形)走行音[205-24a.rm/592KB]
 山手線で活躍していた頃の205系の走行音です。登場時は6M4T編成でしたが、後に6扉のサハ204を増結し、6M5Tとなったため、少々加速性能が低下しています。この音は、残念ながら増結後のものです。山手線、東海道・山陽緩行線、横浜線と、南武線前期、埼京線途中の増備までは主電動機点検蓋がありました。この音は、その点検蓋の付いた車両で、かつ、モータも初期の外扇形を装備する車両のものです。
 高速域で103系の後期形のモータを積んだ車両と似たような雰囲気になることが外扇形の最大の特徴でしょう。この車両では、特に張り裂けるような唸りを上げているように感じられます。ファンの構造が103系後期車と同様の二重式でブレーキディスクのような形をしたものであるためということのようです。そして、減速時には界磁制御による回生ブレーキを使用しているため25〜20km/h程度が電気ブレーキの下限速度であり、そこで断流器の「スコン」という音が聞こえてモータ音もほとんどなくなるというのも国鉄形車両ではあまりない独特の雰囲気と言えます(私鉄では界磁チョッパ車を多く製造してきたため非常に多いですが)。なお、この車両は、半自動ドア化などの3000番代化改造を受け、八高線・川越線で余生を過ごしています。
 録音は山手線品川→田町間です。きっちりと90km/hまで加速し、その後、曲線制限などを受けながら、駅に到着します。
 モハ205-105(外扇形)走行音[205-105a.rm/827KB]
 こちらは東海道・山陽緩行線で活躍していた頃の走行音です。この線区の車両は元々4M3Tの7連が4本在籍するだけという珍しさで、製造時期からもおそらく全電動車が外扇形モータを積んでいたものと思われます(JR東日本ほどモータの使い回しがないみたいな様子ですし)。山手線ではどう頑張っても90km/hしか出せないのに対し、こちらは常に100km/h運転(もちろん区間にもよります)ですので、やはり一段階迫力が違います。
 録音は東海道本線摂津富田→茨木間です。
 モハ205-151(外扇形)走行音[205-151a.rm/608KB]
 再び山手線車両の走行音です。JR化初年度に製作された車両で、山手線としては後期の編成になります。この路線にしてはかなりきれいに録音できたのですが、代わりにスピードが今ひとつでした。とは言っても、「山手線の205系の音と言えばコレ」という、特徴的な音のようにも思います。
 録音は山手線品川→田町間です。
 モハ205-300(外扇形)走行音[205-300a.rm/478KB]
 1989年製の埼京線向け車両の途中くらいで主電動機点検蓋がなくなった模様で、この車両は89年度後期の新造車、つまり、点検蓋のない車両での録音です。製造時期から見ても新製時は内扇形のモータを搭載していたものと考えられます。そうは言ってもモータは検査のために工場に入ったときに予備品と交換されることも多いらしく、この車両は録音した時点では外扇形モータを積んでいます。
 京葉線での録音ではありますが、あまり長い駅間ではないため、90km/hに届かないくらいの走りでした。点検蓋なしではありますが、録音したものを聞く限り、違いはよく分かりませんね。
 録音は京葉線稲毛海岸→検見川浜間です。
 モハ205-92(外扇形/異音車)走行音[205-92a.rm/411KB]
 こちらは外扇形モータを積んだ車両の中でも加速中や減速中に「ヒュゴゴ…」という系統の音をたてる車両の走行音です。たいていは検査を受けてからそれなりに時間が経過した車両でこういう音が聞かれるようです。まぁ、さすがに営団地下鉄のチョッパ制御車の一部のような激しさまではいかないようですが…。
 録音は山手線神田→東京間です。何ヶ所か、携帯電話によると思われるノイズを拾ってしまったようです。
 モハ205-240(内扇形)走行音[205-240a.rm/422KB]
 こちらは基本的に後期の製造分に搭載されている内扇形モータを積んだ車両の走行音です。この車両は89年度製造で、埼京線向けに投入された車両なのですが、上にある京葉線向け300番ユニットと同一年度です。が、この240番は点検蓋付、300番は蓋なしということで、ちょうどこの間に境界があるということのようです。
 モータ音の特徴としては起動時は外扇形と特に変わらないと思うのですが、中速域からの「唸り」が小さく、高速域では高めの小さな音と、低めの唸りとが重なってきます。ノッチオフすると低めの唸りだけが残りますので、加速中の甲高い音は電気的に発生している音なんでしょうね。
 路線の特徴でスラブ軌道により雑音が大きいのと、何かの電波を拾ったらしいノイズもあり、音質が今ひとつですね…。
 録音は埼京線北戸田→戸田間です。
 モハ205-347(内扇形)走行音[205-347a.rm/648KB]
 同じく内扇形モータを積む車両で、後期製造の、点検蓋なしの車両の走行音です。点検蓋なしとは言っても、特に雰囲気が違うと言うこともないと思います。比較的新しい録音でもあり、クリアに聞こえているはずです。ちょっとスピードが不満ですが…。
 録音は東京臨海高速鉄道りんかい線東雲→新木場間です。205系が入線する前は爆走区間だったんですが…。
 モハ205-4(内扇形/高速域低音)走行音[205-4a.rm/1.06MB]
 量産先行車である第2編成の走行音です。山手線に末期まで在籍した後、現在は京葉線で活躍しています。いつの時点からかは分かりませんが、内扇形モータを積んでいます(記憶では、山手線で非常に静かな量産先行車があったと思います。たぶんこの車両だったかと)。
 この車両は、乗っている分には音量が小さいくらいにも感じられたのですが、点検蓋付近で録音してみると、なかなかの迫力で録れていました。ノッチオフ後も、どことなく低音が効いているように(音色が違うように)感じられます。気のせいかもしれませんが…。
 録音は京葉線海浜幕張→南船橋間です。
 モハ205-64(内扇形/異音車)走行音[205-64a.rm/435KB]
 山手線で活躍後、6連に短縮されて南武線で活躍中の車両です。2008年のことだったでしょうか、凄まじい起動音に気付いたのは。とにかく良く唸り、高速域でも内扇形とは思えない凄まじい加速音です。でもノッチオフすると紛れもない内扇形の音になります。少し、「チュンチュン」と、FRP製の撓み板を使用したVVVF車のような音が鳴ることもあります(惰行時)。
 この走行音は、川崎→立川方面ですが、加速時にはこれだけすごい音がするものの、減速時はそれほど変わった調子ではないようです。
 録音は南武線中野島→稲田堤間です。
 モハ205-64(内扇形/異音車)走行音[205-64b.rm/496KB]
 同じ車両で、今度は立川→川崎方向での走行音です。加速時は少しうるさいくらいで、それほど変わったことはないのですが、逆に減速(回生ブレーキ)時、すごく大きなモータ音が響いてきます。これも珍しいのではないでしょうか。回生ブレーキが切れた後のモータ音も大きい感じがしますし。
 録音は南武線矢野口→稲田堤間です。
 モハ205-64(内扇形/異音車/空転)走行音[205-64c.rm/566KB]
 同じ車両で、今度は川崎→立川方向での走行音です。加速時、少し空転してしまいました(小雨のため)。58秒付近から、少し再加速をしています。この区間では珍しいことですが。この再加速の始まる際、やはり普通の205系とは違った響きのようにも感じられました。
 録音は南武線武蔵新城→武蔵溝ノ口間です。
 モハ205-5001(VVVF改造車)走行音[205-5ka.rm/665KB]
 山手線へのE231系大量投入に伴う、205系転属劇の主役と言ってもいいかもしれないのが、このVVVF改造車、5000番代ではないでしょうか。ほとんどが短編成化されるためにサハが大量に余ることとなり、武蔵野線への転入車を6M2Tではなく4M4Tの編成とするためにVVVF化されました。また、最初のVVVF化時は、ちょうどワールドカップ輸送で253系を増備する需要とも重なり、捻出された界磁添加励磁制御関係の機器を253系新造車に移植するという、珍しいやりくりも見られました。
 VVVF音は東洋電機製の2レベルIGBTの標準的なもので、一定音の非同期モードの後、不思議な和音を奏でながら単純に上昇していきます。パルスモードがいくつかあるような、一つしかないような、つかみ所のない音である点も、このタイプの特徴でしょうね。
 加速力も高く、起動時は3.0km/h/s前後あったと思います。それほど加速時間は長くないのですが、簡単に90〜100km/hに到達します。ノッチオフ時は、E231系のMT73に近い音でしょうか、低音が響くように思います。それに重なって、「カランカラン…」と鳴り響きます。
 録音は武蔵野線船橋法典→市川大野間です。
 モハ205-5015(VVVF改造車)走行音[205-5kb.rm/548KB]
 上のモハ205-5001は、総武・中央緩行線からの転属車でしたが、5000番代の大部分は山手線で活躍した車両が種車になっています。このモハ205-5015も、モハ205-144で山手線の後期車両からの改造です。
 音の違いは、特にないとは思いますが…。この走行音、ブレーキ時に一瞬非常ブレーキでも使ったんでしょうか、中速域で一旦VVVF音が途切れているようです。
 録音は武蔵野線北府中→西国分寺間です。
 モハ205-5047(VVVF改造車)走行音[205-5kc.rm/722KB]
 こちらはモハ205-97から改造された車両です。山手線向けの国鉄末期投入車からの改造となります。
 この走行音では、途中での再加速の音が聞けます。全体的には高架区間のせいか、軌道からの響きが非常に大きいです。
 録音は武蔵野線北朝霞→新座間です。
・その他の写真
 山手線に投入された量産車です。側面の窓が2連の一段下降窓となり、ドアの窓は小さいままとなりました(この写真では判別しづらいでしょうが)。
 写真はクハ204-14以下11連です。
 2003.8.2 山手線有楽町駅にて撮影
 関西地区の東海道・山陽緩行線で活躍するクハ205-35以下7連です。この路線ではスカイブルーのラインが入っているわけですが、過去には似たような姿の205系が京浜東北線でも走っていました。とは言っても、国鉄時代に製造された分と、JR化後でも山手線に投入された車両はドア部分の窓が小さかったため、これと京浜東北線向けの車両を全く同じ姿とするのは間違いだったりもします。
 2004.7.31 東海道本線千里丘駅にて撮影
 こちらは横浜線のクハ205-75以下7連です。103系時代の横浜線では山手線と同じ黄緑の塗装でしたが、205系投入の際にはこのような緑の濃淡を利用した2色のラインカラーとなっています。
 2000.4.29 東急田園都市線長津田駅にて撮影
 横浜線への205系投入後、次は南武線と埼京線に投入されました。南武線の第一陣が最初で、写真のクハ205-88以下6連を含む3本が投入されています。横浜線向けと同様、ドア窓が大形化されています。また、ATCを搭載しない、関東では最初の205系でもあり、乗務員室仕切の窓も大形化されました。
 2008.2.24 南武線尻手駅にて撮影
 山手線からの205系転属劇の中で登場した、先頭車化改造車になります。南武線には6編成が投入され、この写真はクハ205-1206以下6連になります。山手線で活躍したサハ205-27が種車で、反対側のクハ204は、サハ205-28が種車です。いずれも山手線の第14編成に組み込まれていたことになります。当然ながら、山手線からの転属車はドア窓が小さいので、南武線生え抜きの車両とは容易に判別できます。
 2008.2.24 南武線尻手駅にて撮影
 横浜線、南武線に続き、埼京線にも投入されました。これはその時期に投入された編成で、クハ205-98以下10連です。りんかい線への乗入れ開始の頃に行先表示器がLED化され、現在では運行番号幕も、LED化されています。また、それとは別に、山手線で余剰となった6扉のサハ204が組み込まれ、この写真の後方に2両連結されています。編成端にクハ-サハ-サハと組成され、手前に向かってモハが6両、そして最後にクハという、非常にバランスの悪い編成が組まれるようになりました。後側のクハは、かなりの前後動になるそうです。
 2004.8.8 山手線原宿駅にて撮影
 こちらは山手線からの転属車になります。ただし、E231系投入時の転属ではなく、もっと早い時期から埼京線で運用されていたクハ205-41以下10連です。山手線用の編成だったため、ドア窓が小さく、運行番号もこの時はマグサイン式だったものと思われます(全く見えませんが…)。
 2003.4.27 東京臨海高速鉄道りんかい線新木場駅にて撮影
 こちらは総武・中央緩行線のクハ205-104以下10連です。同線の103系や201系と同じ黄色のラインカラーとなっています。この編成の投入により、営団地下鉄乗入れ用の103系や301系が黄帯から水色帯に変更されたとか。総武・中央線の205系は、京浜東北線と並ぶ小所帯でした。今では京葉線や武蔵野線(5000番代化)などに転出しています。
 1999.1.4 総武本線錦糸町駅にて撮影
 こちらは京葉線のクハ205-112以下10連です。京葉線のラインカラーはこのように、赤のような濃いピンクのような色で、205系はこの色で投入されましたが、なぜか103系や201系はスカイブルーとされています。もっとも、同じ色に塗られたら気持ち悪そうだからそのままでいいんですが…。
 ちなみに、この京葉線向けと、後に登場する武蔵野線向けの車両は前面形状が独特のものとなっています。
 2003.5.18 京葉線葛西臨海公園駅にて撮影
 総武・中央緩行線から京葉線に転じたクハ205-103以下10連です。通常前面の205系の京葉線投入第一陣でした。その後埼京線の踏切事故での被災車両の代替で、この編成からモハ1ユニットを充当したため、VVVF化され、武蔵野線に転用されたようです。
 2003.5.18 京葉線蘇我駅にて撮影
 こちらは山手線から京葉線に転属となったクハ204-11以下10連です。ドア窓が小さいことが特徴です。6扉のサハ204を埼京線に転出させ、新製時と同じ10連に戻されています。
 2007.7.29 京葉線新浦安駅にて撮影
 こちらは山手線にほぼ最後まで残った、量産先行車でクハ204-1以下10連です。当然ながらユニット窓で残っているのが特徴です。
 2009.2.7 京葉線新浦安駅にて撮影
 1989年度に京葉線向けまで投入された後、1990年度は南武線や埼京線に投入され、埼京線は205系に統一、南武線は半分ほどが205系となったところで打ち止めと、205系の増備もほとんど終了となりました(相模線向け500番代もこの時期の登場です)。そして最後に登場したのが、この武蔵野線用です。写真はクハ204-148以下8連で、武蔵野線向けには中間車を全て電動車とした、6M2Tの強力編成で投入されました。また、前面形状は京葉線用と類似したものとされました。
 2003.5.18 京葉線潮見駅にて撮影
 VVVF化編成である、クハ205-105以下8連です。元は総武・中央緩行線で活躍した車両です(その前に京浜東北線で運用されていた編成かも?)。武蔵野線では、側面のラインカラーは3色ですが、正面はオレンジ一色となっています。
 2003.5.3 武蔵野線東川口駅にて撮影
 山手線からの205系転用劇の中で登場した車両で、南武支線向けの2両編成、クモハ204-1002以下2連です。モハ205とモハ204から先頭車化改造され、オールMの2両編成となりました。当然ながら、乗ってみるとかなりの加速度です。もちろん、その性能を発揮するような路線ではありませんが…。
 2004.5.23 南武支線八丁畷〜川崎新町間にて撮影
 こちらは阪和線で活躍するJR西日本独自設計の1000番代車、クハ204-1001以下4連です。客室からの前面展望性の向上のため(だと思う)、前面ガラスの仕切の位置を変え、助士側の窓を天地方向に拡大した、これまた独特の形態になっています。せっかくそのようにしても乗務員室のすぐ後ろに座席がないのが残念なところです…。
 また、この車両では屋上のベンチレータの個数が減らされています。
 2008.5.4 阪和線浅香駅にて撮影
 モハ204-123から、クハ204-41方向の室内です。登場時は、このように茶色のシートでした。最近では緑色のシートに交換された車両がほとんどで、この室内の様子は今では見られないものと思われます。なお、この編成は山手線に投入後、埼京線に転じ、現在も埼京線で10両編成のまま活躍中です。
 2003.4.27 東京臨海高速鉄道りんかい線新木場駅にて撮影
 モハ205-342から、クハ205-125方向の室内です。最近ではほとんどがこの緑色のシートモケットに変更されています。なお、この車両は点検蓋が廃止された車両ですので、床がすっきりとしています。
 2003.5.3 埼京線大宮駅にて撮影
 モハ204-313から、クハ204-115方向の室内です。京葉線スタイルの編成には、このような、他の205系とは違ったシートモケットが使用されています。こちらも点検蓋なしのすっきりとした床です。
 2003.5.18 京葉線蘇我駅にて撮影
 モハ204-296の台車です。国鉄初の軽量ボルスタレス台車であるDT50系列の台車になります。205系の増備途上でも細かな改良が加えられ、変更記号が付いているようですが、基本的な外観は変わりません。
 2003.5.18 京葉線千葉みなと駅にて撮影
 こちらはJR東日本でVVVF改造された、モハ205-5001のVVVFインバータ装置です。東洋電機製の、IGBTインバータで、既に標準となりつつある形状です。
 2002.11.30 京葉線南船橋駅にて撮影

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