・36-100/200形(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
36-203
冷房改造後、リニューアル前の36-203(廃車済)
2006.8.5 北リアス線宮古〜一の渡間にて撮影
 1984年4月の三陸鉄道開業に際し投入された気動車で、当初からワンマン運転を考慮した、片開き2扉のセミクロスシート配置とされました。
 白基調の18m級の車体は当時の気動車のイメージとは一線を画す軽快気動車で、クロスシート部を左右でずらした配置とされたのも目新しいところです。36-100形と36-200形は基本的に同一の構造ですが、36-200形には自動販売機が設置されています。
 登場時は国鉄キハ37形のDMF13S形と類似の縦形直噴式ディーゼルエンジンを搭載し、非冷房車でした。1995年からは冷房改造が実施され、この際にDMF13HZ形への機関換装と変速機の交換がされました。
 2008年度からはリニューアル改造が行われ、ボルスタレス台車への交換による2軸駆動化、エンジン出力の向上、保安ブレーキの2重化、ATSの変更などのメニューとなっています。
 1983年末〜1985年にかけ、36-100形が10両、36-200形が9両製造されました。1999年には36-105、203の2両でクロスシートの増設改造が、2000年には36-206を仙台〜八戸間直通の「リアスシーライナー」用にリクライニングシート(JR485系から譲渡)設置改造して36-1206への改番が、2001〜2002年には同じく36-103→1103、106→1106、107→1107、201→1201が、2002年には「さんりく・しおかぜ」用に36-110をお座敷車化改造して36-2110への改番が、それぞれ実施されました。
 1994年初めに36-108と36-204の2両が事故廃車、2008年度末には36-1106と36-1201、1206の3両がダイヤ改正による運用変更で廃車となりました。この時点で14両が在籍していましたが、2011年3月の東日本大震災では津波による浸水被害があり、36-104、203、205の3両が2012年に廃車となりました。2013年度には36-1103と1107が廃車されたことでリクライニングシート装備車が消滅しました。更に2016年にお座敷車の36-2110も廃車となり、現在は一般車8両が在籍しています。
 36-100形走行音(冷房改造)[36-1a.mp3/4.23MB]
 36-100形で冷房改造・機関換装・変速機交換が実施された後の走行音です。DMF13HZ形エンジンに変速1段・直結2段の新潟製変速機の組み合わせなだけあって、NDCシリーズの気動車の音と言っていいとは思いますが、直結段での音が少し甲高いのが特徴でしょうか。
 三陸海岸の地形ゆえに、海沿いの低地を急カーブしながら進むか、比較的高い場所をトンネルや鉄橋をたくさん造って崖を貫通して進むか、の2択になるわけですが、三陸鉄道の線形は後者のところがほとんどです。おそらく勾配も多いと思われます。
 この区間ではゆっくりと加速をしているせいか、直結2段に進んでからは速度が低下してしまい、いったん直結1段にシフトダウンし、改めて加速し直してから直結2段に進んでいます。
 機関換装前には乗ったことがないので不明ですが、スペックを見る限りでは鹿島臨海鉄道6000形と同じような走行音だったのではないかと想像しています。
 録音は南リアス線釜石→平田間です。少々車内が騒がしい感じですが、この時代の走行音でシフトダウンありということで貴重なものではあると思います。
 36-100形走行音(冷房改造)[36-1b.mp3/8.51MB]
 同じ36-100形冷房改造車の走行音で、別区間での録音です。おそらくは上り勾配が多い区間だと思うのですが、変速段でかなり加速をしていて、その分直結1段が非常に短くなっています。それなりに重量があっての300psですので、勾配区間では重たく感じていたのではないかと思われます。
 録音は南リアス線吉浜→三陸→甫嶺間です。
 36-100形走行音(冷房改造)[36-1c.mp3/9.14MB]
 同じ36-100形冷房改造社の走行音で、更に別区間での録音です。以前から公開していた録音に、続けて録っていた区間をたして置き換えたものです。こちらも変速段での加速がかなり長くなっています。
 録音は南リアス線小石浜→綾里→陸前赤崎間です。
 36-200形走行音(冷房改造)[36-2a.mp3/5.29MB]
 こちらは36-200形の走行音ですが、同じく冷房改造車での録音であり、車体構造などを考えても36-100形との違いはありません。
 加速時に分岐器通過のため低速域で一度ノッチオフされています。その後は普通の(?)速度で直結段に進み、直結1段での長い加速を経て直結2段に進段しノッチオフしています。力強い加速音が楽しめます。お子様の声がところどころで聞こえてきたりはしますが…
 録音は南リアス線唐丹→平田間です。
 36-1200形走行音(冷房改造)[36-12a.mp3/9.78MB]
 こちらは36-200形からリクライニングシートへの交換が行われた、36-1200形の走行音です。録音した車両は36-1206で、2009年に廃車となった車両で、連結していた車両は36-2110でした。シートの違いにより音の反響が異なる可能性はありますが、マイクの向きや場所だけでも変わるものですので、何とも言えませんね。
 全体的に変速段での加速が長いのですが、この録音の最後、甫嶺→三陸間の加速では変速段からいきなり直結2段に切り替わっていたようです。直結段での加速力が弱いと感じられての運転取り扱いなのか、あるいはDMF13HZに換装される前はそもそも変直切替速度を55〜60km/hくらいにしていた(当時乗ってないので不明ですが)、等の扱いの名残なのか、どちらなんでしょうかね。
 録音は南リアス線綾里→小石浜→甫嶺→三陸間です。
 なお、三陸鉄道では一般車として36-500形が1両のみの勢力で在籍していました。残念ながら36-1206などと同じく2009年に廃車となってしまいましたが、36-100/200形の冷房改造直前に導入されたせいか、機関や変速機などの仕様は同じだったようです。JR九州のキハ125形がベースとも言われており、きっと典型的なNDCの音だったと予想しています。
 36-200形走行音(リニューアル)[36-2b.mp3/43.3MB]
 こちらは36-200形のリニューアル後の走行音です。台車を国鉄形と同等のコイルバネ台車からボルスタレス台車に交換されており、晴れて2軸駆動となったことでエンジン出力を330psに設定変更されています。また、このタイミングでの実施と思われますが、変直切替がレバー操作から自動切替に変更となっており、53km/hくらいで直結1段に進段していました。直結2段には約68km/hで進段していました。
 堀内の手前での有名な鉄橋通過時の減速運転や、久慈に向かう長い下り坂などで排気ブレーキを使用していました。また、堀内からの加速時には一度直結2段まで進んでから速度低下により直結1段にシフトダウンする音が録れています。
 録音はリアス線(旧北リアス線)田野畑→普代→白井海岸→堀内→野田玉川→十府ヶ浦海岸→陸中野田→陸中宇部→久慈間です。
・その他の写真
 こちらは36-102です。冷房改造は実施済み、リニューアル工事は未実施の時期ですので、台車は国鉄の気動車のようなコイルバネのものになります。赤塗装が斜めに入っているところは、実は三陸の「三」をあしらったものになっているそうです。
 2002.10.13 北リアス線久慈駅にて撮影
 36-203と36-104の2連です。36-203はクロスシート部の増設が行われた車両ですが、さらに特別塗装も施されていたようですね。
 それにしても、望遠レンズなどを持っていなかった当時ですので、こういう構図での撮影は厳しいですね…。
 この2両はどちらも、東日本大震災の際の被災により廃車となってしまいました。
 2002.10.13 南リアス線唐丹駅にて撮影
 36-202です。こちらも冷房改造は実施済、リニューアル工事は未実施の時期の撮影です。この車両は今も稼働しています。
 2002.10.13 北リアス線田野畑駅にて撮影
 36-205です。こちらも冷房改造は実施済、リニューアル工事は未実施の時期の撮影です。残念ながら東日本大震災の被災により廃車となってしまった車両です。
 2007.6.17 南リアス線釜石駅にて撮影
 36-207です。こちらも冷房改造は実施済、リニューアル工事は未実施の時期の撮影です。この車両は今も稼働しています。撮影当時は南リアス線で運用されていたわけですが、3両が用途廃止となった2009年3月改正あたりで北リアス線に移動していたんでしょうかね。震災の時点での南リアス線所属車両には入っていなかったようですので。
 2002.10.13 南リアス線釜石駅にて撮影
 36-1206と36-2110の2連です。36-1100形や-1200形は赤や青の塗装にされたのが特徴です。36-2110は「さんりくしおかぜ」向けのため、海をデザインした塗装となっています。
 36-1206は2009年に、36-2110は2016年にそれぞれ廃車となりました。
 2002.10.13 南リアス線釜石駅にて撮影
 リニューアル工事後の36-101と36-209の2連です。この構図だとわかりにくいですが、台車がボルスタレスのものに交換されたのが大きな特徴です。車体関係には差は見られないものと思っていますが、詳しくは分かりません。
 2020.9.21 リアス線大槌〜吉里吉里間にて撮影
 リニューアル工事後の36-102です。キットカットのラッピングですが、3代続いた「キット、ずっと」号は名乗っていないみたいですね。なぜかかわいらしいバッファローマンが描かれてますね。
 この角度ですと手前側の方にエンジンが見えなければいけないのですが、どう見ても積まれていませんでした。一応稼働車両のはずなので、故障して取り外してメーカー送りにでもなっているのか、はたまた別の場所で点検中なのか、わかりませんがガランとしていました。
 2020.9.19 リアス線宮古駅付近にて撮影
 リニューアル工事後の36-109です。「かいけつゾロリ」のラッピング車になっていて、何やらイベント列車のような運行もされているようです。こちらの側面(西側)にはコミックの背表紙が並んだ様子が描かれているみたいですね。
 2020.9.20 リアス線宮古駅付近にて撮影
 同じ36-109を東側から撮影したものです。デザイン違いすぎですね。
 2020.9.20 リアス線田野畑駅にて撮影
 リニューアル工事後の36-202です。宮古駅隣接の車両基地への留置中の車両であるせいか、貫通扉が開いた状態でした。側面がちの構図ですので台車の違いはよくわかるかと思います。
 2020.9.19 リアス線宮古駅にて撮影
 リニューアル工事後の36-207です。久慈駅の跨線橋から、上からの視点で撮影したものを載せておきます。
 2020.9.19 リアス線久慈駅にて撮影
 リニューアル工事後の36-208です。
 2020.9.20 リアス線久慈駅にて撮影
 36-101の室内です。シートモケットは登場時のものとは違うと思いますが、座席配置は特に変わってはいません。中央付近の2ボックスだけが左右並んでいて、残りは左右どちらかがロングシートとなるようにすることで、通路幅を確保する工夫がされています。
 また、中央付近の床板に点検蓋が見えますが、これは登場時に縦形のエンジンを搭載していた名残であるはずです。
 2007.6.17 南リアス線釜石駅にて撮影
 36-207の室内です。シートの色が異なっていますが、詳しいことはよくわかりません。奥の右側にトイレがありますが、その手前にややスペースが取られているのが自販機の場所です。36-100形と比べるとその分の1ボックス、座席が少なくなっています。
 2007.6.17 南リアス線釜石駅にて撮影
 リニューアル後の36-207の室内です。偶然にも過去に車内を写した車両と同じでしたが、10年以上空いた間にシートの色が違っていますね。色の系統は同じようではありますが。過去に撮影した36-101とも違うので、元から何パターンかあったのでしょうかね。
 2020.9.19 リアス線久慈駅にて撮影
 36-102のエンジン付近です。DMF13HZへの換装後のものです。いろいろなところで採用例があるものですので、当然ながらよく見かける形態、と言うことになります。左に動台車を見る方向で、このようにシリンダヘッドなどの主要部品が見える配置になります。他の車両と比べると、エンジンのすぐ左手前のところにある器具箱がこの車両にはない(かすごく小さな箱になってる?)のが差分のようですね。
 2002.10.13 北リアス線久慈駅にて撮影
 36-205のエンジン付近です。DMF13HZへの換装後のものです。こちらはエンジンのすぐ左手前の器具箱が大きめですね。36-200形でエンジン付近の写真撮った車両を見る限り、ほぼこの形態のようです。100形と200形の差が出る部位とは思えないのですが…。
 2007.6.17 南リアス線釜石駅にて撮影
 36-2110のエンジン付近です。こちらはエンジンの左手前に見える機器箱がすごく小さいタイプになっているようですね。それにしても、リニューアル前の時代にエンジンの写真は何両も撮っていたのに、台車の写真を1枚も撮っていませんでした…。
 2002.10.13 南リアス線釜石駅にて撮影
 36-109のエンジン付近です。リニューアル工事後のものになります。リニューアル前の写真と比べるとエアクリーナ(エンジン本体の右端付近の手前側にある円筒形の装置)の形状が、縦型から横型に変わっていますね。他に、関連する配管も交換されているようです。正直、現地では全く気づきませんでしたが。
 リニューアル前と同様、エンジンの左手前にある器具箱は、やはり36-100形では全く目立ちませんね。
 2020.9.20 リアス線宮古駅付近にて撮影
 36-208のエンジン付近です。リニューアル工事後のものになります。この車両もエアクリーナの形状が変わっているのは、36-100形と同様です。リニューアル前の写真と比べても36-200形の特徴なのか、エンジン左手前の器具箱が大きいのも同様ですね。
 2020.9.20 リアス線久慈駅にて撮影
 36-109の動台車です。リニューアル工事時にボルスタレス台車に交換されており、この写真のようになっています。空気バネ台車ですので当然乗り心地が向上しているはずですし、同時に2軸駆動化されたことでエンジン出力をDMF13HZの本来のパワーに変更された形になります。
 2020.9.20 リアス線宮古駅付近にて撮影
 36-208の動台車です。こちらもリニューアル工事後のボルスタレス台車で、特段36-100形との違いはないはずです。見る角度が違うので細部の比較はしづらいですね…。
 2020.9.20 リアス線久慈駅にて撮影

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