・36-700形(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
36-711
震災後の北リアス線運転再開に向けて登場した2次車36-704(後は36-716)
2020.9.20 リアス線(旧北リアス線)田野畑駅にて撮影
 東日本大震災の被災により全線で不通となっていた南リアス線のうち、盛〜吉浜間を2013年4月に運転再開するのに備え、津波による浸水のために使用不能となった36-100形、36-200形3両の代替として導入された車両です。クウェートからの支援を受けて製作された車両でもあります。
 普通鋼製の18m2扉の気動車で、前面形状は近年の新潟トランシス製気動車の一般的なスタイルで、塗装は従来の36-100形、200形と同様の白の車体に赤と青のラインで「三」をあしらったデザインを踏襲しています。
 機器類は従来車と大きな違いはなく、DMF13HZ形エンジンやTACN22-1613系変速機を継続して採用しています。変直切替が自動式である点は36-600形(後の36-R形)と同様で、新機軸としては電気指令式ブレーキの採用が挙げられます。このため、36-700形投入時点では従来車との併結は不可能で、36-700形同士での連結しかできないという制約がありました(後に36-R、36-Zが連結可能な車種として増えます)。
 初回の投入は3両が南リアス線に、翌年には北リアス線の全線運転再開のために3両が増備されました。その後、2018年と2019年の2回に分けて、JR山田線釜石〜宮古間の移管に備えて8両(番号が飛んで36-711〜718)が増備されました。現在では全線が「リアス線」として1路線の扱いになっており、時に36-R形との混結もされ全線で運用されています。
 36-701走行音[36-7a.mp3/39.4MB]
 1次車である36-701の走行音です。通常録音するポジションより少し車体中央の方に陣取ってしまったみたいで、変速機の音は弱め、エンジンの音がかなり強く入っています。基本的に36-100形の冷房改造(機関換装)から続くNDCシリーズ標準の変速1段・直結2段仕様の走行音が聞こえてきます。
 この車両に乗ったときは確認していませんが、36-700形ではだいたい52〜53km/hで変速段から直結1段に、67〜69km/hで直結1段から直結2段に進段する傾向です。排気ブレーキ時はほぼ60km/hで直結2段から直結1段にシフトダウンし、40km/hを下回ったあたりで排気ブレーキが停止します。
 36-R3と同様に、ではありますが、ノッチオフしてエンジンの回転数が低下する時の音は結構目立ちます(ほとんど同じ走行音である関鉄の気動車群では目立つ車両目立たない車両があるのですが…)。、また、この録音ではコンプレッサの停止時(?)にずいぶんと甲高い音が聞こえてきますね。車両の個体差なのか、乗った位置によるものかはよく分かりません。
 録音はリアス線(旧北リアス線)久慈→陸中宇部→陸中野田→十府ヶ浦海岸→野田玉川→堀内→白井海岸→普代間です。排気ブレーキは堀内のやや手前と普代への停車時の2回、シフトダウン付で聞くことができました。久慈から陸中宇部の間でも直結1段のみですが使用していたようです。
 36-704走行音[36-7b.mp3/10.0MB]
 2次車である36-704の走行音です。こちらの方がエンジンと変速機のバランスがいい位置での録音になります。この車両もノッチオフ時の音は目立っていますね。と言うか、三陸鉄道で乗った車両はほとんどそうだったような気がするくらいです。
 録音はリアス線(旧南リアス線)綾里→恋し浜→甫嶺→三陸間です。各区間とも加速は途中からフルノッチに上げているようですし、三陸への停車時にはきれいに排気ブレーキをかけてくれています。割と交換可能な駅に停車するときに使う傾向はあるように見えました。
 36-712走行音[36-7c.mp3/17.5MB]
 3次車である36-712の走行音です。2両編成の後ろの車両ですのでドア開閉音がありません。この車両の排気ブレーキの立ち上げ時には、少しおとなしめの空噴かしになっていて、回転数を上げながらクラッチを自然につなぐ、キハE130系列に少し近い雰囲気もあるようです。排気ブレーキ途中のシフトダウン時にもそういう傾向が見えます。ノッチオフ時は1次車などと特に変わらず、大きめの音が聞こえてきます。
 録音はリアス線(旧南リアス線)甫嶺→恋し浜→綾里→陸前赤崎→盛間です。綾里への減速時にきれいに排気ブレーキを使っています。
 36-713走行音[36-7d.mp3/25.4MB]
 同じく3次車の36-713の走行音です。この車両は三陸鉄道では珍しくノッチオフしてエンジン回転数が低下する時の音はかなり小さめでした。
 録音はリアス線(旧南リアス線)釜石→平田→唐丹→吉浜→三陸→甫嶺間です。唐丹→吉浜間では直結1段からの再加速がありました。この録音では残念ながら排気ブレーキはありませんでした。
・その他の写真
 1次車トップナンバーの36-701です。広告車両になっているようです。
 2020.9.19 リアス線久慈駅にて撮影
 36-702で、こちらもラッピング車になっています。Thank You From KAMAISHIと書かれていて、釜石から世界に感謝を届けるという位置づけになっているそうです。
 後ろの車両は一般塗装の36-714でした。
 2020.7.31 リアス線釜石駅にて撮影
 2次車となる36-706で、こちらもラッピング車になります。ポケモンの「イシツブテ」がいわて応援ポケモンなるものに任命されたそうで、そのラッピングだそうです。詳しくないのでよく分かりませんが…。
 後ろには36-704と36-716が連結されていました。どう見てももう1両あるのですが、確か36-100形か36-200形が縦列駐車していたような気がします(車号メモの写真を撮ってなかったので、少なくとも連結はされていなかったはず)。
 2020.9.19 リアス線宮古駅付近にて撮影
 3次車となる36-711で、こちらは一般色の車両です。多少製造時期が離れましたが目立った形態差もないものと思われます。クウェートからの支援が関係ないはずなので、そのあたりの装飾がないとは思います(実はよく見てなかったり…)。
 この場所だと釜石の製鉄所をバックに走る感じが悪くないかなと思います。
 2020.8.2 リアス線平田〜釜石間にて撮影
 3次車の36-712で、東北電力のラッピング車両です。この構図だとラッピングのデザインが全く分かりませんね。
 後ろは一般色の36-711です。旧南リアス線の区間で撮影しての行先表示「久慈」ですので、全区間運行の列車です。
 2020.8.1 リアス線恋し浜駅にて撮影
 3次車36-713で、こちらは一般色です。「がんばろう三陸」のヘッドマークが付いています。
 2020.8.1 リアス線釜石駅にて撮影
 今のところ最終増備車となる、2019年3月に落成した36-718です(同じ2018年度車なので3次車でいいのだと思いますが)。こちらも一般色です。同時に落成した36-716との2両編成でした。
 2020.8.1 リアス線釜石駅にて撮影
 36-701の室内です。36-100形などとは異なり、トイレの向かい側を除き、ボックスシートがひたすら並ぶ室内となっています。先頭寄りだけはボックスではなく、車端部を向いた2人掛け座席になっています。
 2020.9.19 リアス線久慈駅にて撮影
 36-704の室内です。上の写真とは逆で、トイレ側(盛方)からの撮影です。こう見るとトイレの幅が座席より広いんですね。その分でしょうか、トイレの向かい側をロングシートにしたようです。確か更に手前側に車椅子スペースがあったような。
 2020.8.1 リアス線釜石駅にて撮影
 36-712から36-711に向けての室内です。製造時期が数年離れていますが特に目立った違いはなかったと思います。
 2020.8.1 リアス線三陸〜甫嶺間にて撮影
 36-706のエンジン付近です。36-100形、36-200形の換装で使用されたのと同じDMF13HZであり、製造時期を考えたらコモンレール式燃料噴射システムなどを採用しているのかと思い、いろいろと調べてみたものの、新車の紹介記事でも一切触れられていないし、そもそも関鉄5000形とエンジンの形状が違っていて、従来車と同様の形状だということは、従来通りのシステムだと考えるのが自然なようですね。
 2020.9.19 リアス線宮古駅付近にて撮影
 36-706の動台車です。ボルスタレス台車であり、先に登場していた関鉄キハ5000形なんかと同じ形状のように見えます。
 2020.9.19 リアス線宮古駅付近にて撮影

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