・大阪市交20系GTO車(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
2901以下6連
「海遊館」PR用のラッピング車両となっていた頃の2901以下6連
2002.12.28 近鉄東大阪線新石切駅にて撮影
 1984(昭和59)年、翌年の中央線深江橋〜長田間開業に備えて登場した、初めてGTOサイリスタを使用したVVVF制御を実用化した車両で、89年までに中央線と谷町線に6連7本と9本が投入されました。
 車体は10系とよく似ていて、車内設備も10系後期車とよく似ています。ただし、前面形状だけはFRP製の額縁の形状やライトの配置、窓周りを黒色にするなどの変更が行われています。
 当時としては高耐圧・大容量のGTOサイリスタが使用されていますが、1C2Mとするのが限界で、1両につき2台のVVVF装置(制御部は1台)を搭載し、3M3Tの組成とされました。
 ブレーキは10系を基本とするものの回生効率が高められることからT車遅れ込め方式を採用しています。また、中央線用の車両は近鉄東大阪線の勾配区間に対応するため65km/hの定速制御を行う抑速ブレーキが搭載されています。
 2004年から2006年にかけて、近鉄けいはんな線直通に備えた改造工事が実施され、16編成全てが中央線に配置されました。制御システムも含め大幅な改造が実施されましたので、改造後の20系は、別途、20系IGBT車として紹介します。
 走行音(東芝)[osk20ssa.mp3/742KB]
 東芝製の制御装置と東芝製のモータを搭載した2101号車(試作編成)の走行音です。4桁車号の20系は皆似たような音ではあるのですが、よく聞くと音の変化するタイミングは制御装置のメーカーによって大きく違っています。この東芝製が一番耳障りにならないタイミングで雰囲気も個人的には好きです。減速時の音など聞いていると後の新20系はこれを基本にしているのでは?とさえ思えてきます。
 録音は中央線堺筋本町→谷町四丁目間です。
 走行音(日立)[osk20hha.mp3/1.05MB]
 日立製の制御装置と日立製のモータを搭載した2201号車(これも試作編成)の走行音です。この他、谷町線(当時)の37〜39編成も同じく日立インバータと日立モータの組み合わせになっています。音の特徴としては3段階目の音がやや長く、4段階目もそれなりに長いということでしょうか。減速時は基本的に加速の音をひっくり返しただけの車両がほとんどですから、この車両の場合かなり高い音から始まる段が低速域で多くなるのが特徴でもあります。何年も後で登場する京王8000系などの1C8M車の雰囲気にどことなく似ていますね。
 録音は近鉄東大阪線荒本→吉田間です。大阪市営地下鉄では女声自動放送になっていた時期ですが、近鉄線内では男声放送のまま(そもそも声優さんが違うように思われますが)になっており、昔の雰囲気に近いものが感じられます。
 走行音(日立)[osk20hhb.mp3/743KB]
 同じく日立製制御装置と日立製モータを搭載した車両で、谷町線(当時)の39編成での録音です。音の雰囲気は2201号車と特に違いはないと思われます。
 録音は谷町線田辺→駒川中野間です。このファイルは車内放送のスピーカにかなり近づけて録音していたような…。
 走行音(日立)[osk20hhc.mp3/767KB]
 同じく39編成での録音で、こちらは女声自動放送化後の録音で、今度は床方向にマイクを向けての録音です。モータそのものの音にも大きな特徴もなく、やはり2201号車と異なる部分はないと思われます。
 録音は谷町線天王寺→四天王寺前夕陽ヶ丘間です。結構お気に入りの区間です。
 走行音(三菱)[osk20mma.mp3/933KB]
 こちらは試作編成で三菱製の機器を積んだ2301号車での録音です。加速時に関しては3段目の音が短めで4段目が非常に長い、アンバランスな音が特徴です。減速時は日立車とほとんど同じ音のようです。三菱製モータではあるものの、「三菱モータの爆音」は聞こえてきません。最初だから気合いを入れて造ったのか、三菱同士の組合わせなら大丈夫だったのか、何なんでしょうね。31〜33編成の東芝インバータ+三菱モータの組合わせでは結構な爆音になっていますので…。
 録音は中央線阿波座→九条間です。
 走行音(三菱-日立)[osk20mha.mp3/287KB]
 中央線の第4編成は三菱製のインバータに日立製のモータが組み合わされています。特徴は試作編成について書いた部分と同じわけですが、減速音は日立製とほとんど同じなんですね。加速を聞く分には十分区別できるんですが…。
 録音は中央線本町→堺筋本町間です。昔の男声自動放送時代の録音です。
 走行音(東芝-三菱)[osk20sma.mp3/739KB]
 中央線の5〜7編成と谷町線(当時)の31〜33編成は東芝製インバータと三菱製モータの組合せです。音の特徴は試作車と同じわけですが、モータが三菱製のためかどことなく5段目と7段目が爆音に近いような雰囲気のように思います。
 録音は谷町線谷町九丁目→四天王寺前夕陽ヶ丘間です。昔の男声自動放送の頃の録音です。
 走行音(東芝-三菱)[osk20smb.mp3/768KB]
 同じく、谷町線(当時)の31編成での録音です。5段目が明らかに「三菱モータの爆音」です。上のファイルとは違い、6段目がはっきりしていて、7段目は非常に弱いという違いがありますが…。
 録音は、お気に入りの谷町線天王寺→四天王寺前夕陽ヶ丘間です。こちらは女声自動放送化後の録音です。
 走行音(東芝-三菱/異音車)[osk20smc.mp3/886KB]
 同じ谷町線31編成ですが、この録音当時、2131号車はこのように激しい雑音が鳴っていました。この編成は昔から、どこかの号車でこのような雑音をたてる傾向にあったようです。JR東海373系でも、似たような雑音をたてる車両が半数近い編成でありましたが、いつの間にかほとんど直ってしまったようですし、この20系も、IGBT化された後ではこのような傾向の車両は見つかっていません(同じ2131号車にも乗りましたが静かでしたし)。
 録音は谷町線都島→天神橋筋六丁目間です。
 走行音(三菱-東芝)[osk20msa.mp3/724KB]
 谷町線(当時)の34〜36編成は三菱製インバータと東芝製モータの組み合わせとなっています。音の特徴は試作車や中央線の4編成のところで書いたのと特に変わりませんが、この車両に関して言えば、なんだか加速が重たそうに聞こえるし、「爆音」とは質が違うとは思うものの、ちょっとブレるような音が聞こえますね(加速時の4段目途中)。
 録音は谷町線谷町六丁目→谷町九丁目間です。
 ちなみに、ここまでに紹介していない編成の機器類のメーカーを紹介すると、中央線の2・3編成は日立製インバータに東芝製モータ、他には…、と思いましたが全く紹介してないのはこれだけでした。
 走行音(三菱&日立mix)[osk20mix.mp3/995KB]
 試作第1編成は、2201号車(日立)と2301号車(三菱)で異種インバータの車両が隣接しています。加速時は特に、パルスモードの切替タイミングが大きくずれていますので、このような響き方をします。減速時にはあまり音の差がないこともあり、車輪径の違う電動車が隣り合った場所のような音になっていますね。
 録音は中央線長田→高井田間です。
・その他の写真
 こちらは2607以下6連の写真で、登場時のラインカラーです。10系の未更新車と同様、大阪市交のマークがたくさん並んでいますね。
 2000.9.5 中央線九条駅にて撮影
 こちらは2604以下6連の写真ですが、側面帯の違いなどが分かると思います。30系の冷房改造車で白の細線入りのものが採用され、谷町線では既に全ての20系がこのタイプになっていますが、中央線ではまだ全車完了には至っていません。
 2000.9.5 中央線九条駅にて撮影
 こちらは谷町線の2938以下6連です。谷町線では対向式ホームの地上駅はないようなのでこういう写真しか撮れないんですよね…。谷町線用については、比較的早い時期に、このような細い白線入のラインカラーへの変更が完了していました。
 2002.12.29 谷町線天満橋駅にて撮影
 2201号車から2901号車方向の室内です。まだ次駅等案内装置や車椅子スペース等の設置改造前の撮影ですので、比較的原形に近かったものと思われます。
 2002.12.28 大阪港トランスポートシステム コスモスクエア駅にて撮影
 東芝製のVVVF装置です。写真は2232号車のものです。試作車の登場時には、東芝製については表面が網目状になっていたようですが、この通り、普通の見た目になっています。試作車の現状も未確認ですが…。
 撮影は、IGBT化後ですが、北側の側面には、死重として、あるいは端子台の役割として、GTO時代のインバータ装置が残されているそうです。
 2008.5.2 中央線九条駅にて撮影
 日立製のVVVF装置です。写真は2238号車のものです。こちらもIGBT化された後、死重として取り付けられている状態のものを撮影しています。日立製にはメーカ名を示すプレート等がないようですね。
 2008.5.2 中央線九条駅にて撮影
 三菱製のVVVF装置です。写真は2304号車のものです。こちらもIGBT化された後、死重として取り付けられている状態のものを撮影しています。それぞれのメーカーで少しずつ形が違うということだけは分かるかと…。ちなみに、4桁車号の20系ではGTOサイリスタの容量が小さく、1台のインバータで2台のモータを駆動する電流しか扱うことができません。このため、同じ形状のインバータが1両につき両側面に、計2台が搭載されていました。ただし、インバータを制御するための装置(ゲート制御装置)は1両につき1台なので、厳密に言うと1C4Mということになります。
 2009.5.1 中央線九条駅にて撮影

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