・東急電鉄3000系(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
営業開始前に3編成が並んだ3000系、左から3007、3008、3003以下6連
営業開始前に3編成が並んだ3000系、左から3007、3008、3003以下6連
2000.8.5 目蒲線(当時)奥沢駅付近にて撮影
 1999年、翌年に迫る営団(後の東京メトロ)南北線・都営三田線との直通運転開始に合わせて登場した車両で、当初は東横線に投入されました。
 東急としては初めて本格的にIGBTインバータを採用したことが特徴で、MT比は1:1です。東横線時代は2両ユニットを2組連結し4M4Tとなっていましたが、地下直通時には2両ユニット1組と1M車を組んで3M3Tの6連となりました。もちろん8連化も考慮された機器構成となっていました。
 車体は伝統のステンレス車体ですが表面のビードがなくなり、室内も時代の流れか片持ちシートに着座区分入り、袖仕切は大形のものとなっています。
 目黒線では力行は運転士の手動操作、ブレーキはTASCを使用した自動制御で、地下鉄線内では運転士が乗務する自動運転となっています。いずれの区間でもワンマン運転となっています。そのための機器を当初から搭載しています。
 当初の8連は1・2編成に分散して組まれ、サハには補機を装備し、2000年8月の目黒線開業時には6連12本体制となりました。2001年にも1編成が増備されましたが、その後の増備は5080系になったため、3000系の両数は、しばらくの間、6連13本の78両で推移しました。
 2023年3月の新横浜線開業に合わせ、2022年から8両編成化されました。既存車の大きな改造や組み替えはされず、1M1Tの中間車を新造し、組み込まれる形となりました。新造車は5080系とよく似た仕様となっています。この増備の結果、8両編成13本の104両の体制となりました。
 走行音(日立登場時)[toq3kh1a.mp3/3.19MB]
 3000系の登場時、東横線を8連で走っていた時点では2つのユニット(当時の8連は2両ユニットが2組でした)でそれぞれ異なるインバータが積まれていたわけですが、目黒線開業に合わせて6連となり、量産車が登場すると、奇数番号の編成は日立、偶数番号の編成は東芝と分かれました。従って、この音は奇数編成のものです。
 音の特徴としては、この時期の登場としては珍しく3レベルインバータを積んでいるので、同時期に登場した車両とは非同期モードの音の高さは異なり、非同期モードの長さもやや短いように感じられます。比較的高めの非同期モードの音が、少しフェードアウトしていくような感覚というのは、福岡市交1000N系の初期改造車や2000系IGBT車辺りと近いのでしょうかね。あとは東京モノレールや多摩モノレール、大阪モノレール、沖縄都市モノレールの同世代の車両も似た雰囲気は感じられます。
 録音は目黒線田園調布→多摩川→新丸子間です。
 走行音(日立登場時)[toq3kh1b.mp3/22.7MB]
 東急新横浜線の開業も見えてきて、8連化されるよなんて話が聞こえきた頃の録音になります。原形の時代ではありますが、2021年末に東京メトロ南北線内で録音したものです。この時代に赤羽岩淵止まりというのもねぇ、とは思いますが、コロナ禍の減便ダイヤでこういうことになっていました。
 録音は東京メトロ南北線四ツ谷→市ヶ谷→飯田橋→後楽園→東大前→本駒込→駒込→西ヶ原→王子→王子神谷→志茂→赤羽岩淵間です。
 走行音(日立8連改造車)[toq3kh2a.mp3/5.60MB]
 東急新横浜線の開業に備えて8連への組み替え(新造車2両の増結)であったり、相鉄乗り入れのための保安装置の改造などが行われた編成は、日立車の場合はVVVFの制御パターンが結構変わりました。加速に関しては非同期モードの音が途中でいったん音程が低くなるようになりました。ある意味、東武30000系の登場時と半蔵門線乗り入れが始まる頃の間での変化という感じでしょうか。減速時には今までの面影が全くないと言えるくらいに、非同期モードがどんどん下がってきて、最後には日立VVVF特有の電気停止ブレーキの「ブーン」につながるという、センスを感じられる組み立てなのではないでしょうか。
 録音は目黒線元住吉→武蔵小杉→新丸子→多摩川間です。
 走行音(東芝登場時)[toq3ks1a.mp3/3.18MB]
 こちらは偶数編成の登場時の走行音です。インバータは東急としては珍しく東芝製となったわけですが、モータは東洋製だという情報もあります。
 音の特徴としてはこの時期の東芝にはよくある三菱製かと思ってしまう非同期モードの音で、同時期に登場のJR東海313系と似たような音が鳴っています。ただ、パルス制御のパターンなどを分析している方々の話だと、東急向けの東芝IGBTのインバータは、3000系も5000系列も、基本周波数と倍周波数の繰り返しであって、厳密な意味でのスペクトラム拡散とは違うそうですね。言われてみると東急の東芝車は独特ではありますので、そういうことなんでしょうね。で、高速域になると9000系、1000系、2000系と変わらない東急の音だなぁ、と感じさせてくれる轟音です。
 録音は目黒線田園調布→多摩川→新丸子間です。
 走行音(東芝登場時)[toq3ks1b.mp3/6.39MB]
 同じく偶数編成の登場時の走行音で、2004年に都営三田線内で録音しました。都営地下鉄はどうにも、ホームドアの開くときのサイン音が嫌〜な音程なんですよね。ホームドアが更新されて作るメーカーが変わってもこの音が引き継がれていますので、都営地下鉄からの指定なんでしょうね。どうか考え直してもらいたいところなんだけど…。
 録音は都営三田線大手町→日比谷→内幸町→御成門→芝公園間です。
 走行音(東芝8連改造車)[toq3ks2a.mp3/3.89MB]
 偶数編成の、相鉄乗り入れ・8連化対応の改造車の走行音です。と言っても、改造はされたもののまだ6連だった時点で録音した走行音です。加速音は従来と変化はなく、減速時には停車間際まで回生ブレーキが効くようになっており、ただ間延びした、と言うよりは、5080系みたいな非同期モードの音が聞こえるようになった気がします。
 録音は東京メトロ南北線赤羽岩淵→志茂→王子神谷間です。
 走行音(東芝8連改造車)[toq3ks2b.mp3/12.3MB]
 同じく偶数編成の、相鉄乗り入れ・8連化対応の改造車の走行音です。これもまだ6連だった時代の録音で、東急線内の走行音です。
 録音は目黒線日吉→元住吉→武蔵小杉→新丸子→多摩川→田園調布→奥沢→大岡山間です。特に元住吉→武蔵小杉で速度が出ています。
 走行音(東芝8連改造車)[toq3ks2c.mp3/6.65MB]
 同じく偶数編成の、正真正銘の8連化後の走行音です。8連対応になった時点と、実際に8連化された後とで、特に違いはありませんが…。8連化された時に車号の付番方式も変更されたため、従来3200形だったユニットの電動車の制御器搭載車が3300形に変わったりしています。
 録音は目黒線日吉→元住吉→武蔵小杉→新丸子→多摩川間です。このファイルでも元住吉→武蔵小杉で速度が出ています。
 走行音(日立8連増結車)[toq3kh3a.mp3/5.78MB]
 こちらは奇数番号の日立編成の、8連化時の増結車の走行音です。さすがに従来の3000系の仕様では増備されず、5050系4000番代と同等の車両となりました(5177編成や5178編成のような6極モーター仕様は採用されず)。3レベルインバータと2レベルインバータの混在は気にしないけど、4極モーターと6極モーターの混結は断固拒否、というところなんでしょうね。
 録音は目黒線新丸子→武蔵小杉→元住吉→日吉間です。
 走行音(東芝8連増結車)[toq3ks3a.mp3/9.54MB]
 こちらは偶数番号の東芝編成の、8連化時の増結車の走行音です。日立車が5050系なら、東芝車は5080系と同じ仕様で増備されました。正直なところ、それ以上のコメントもありませんが…。
 録音は目黒線田園調布→多摩川→新丸子→武蔵小杉→元住吉→日吉間です。
・その他の写真
 3101以下6連です。この編成だけは連結器付近のスカートの切欠きが大きくなっていることが特徴のようです。最近撮った写真がなかったので、今もこのままなのかどうかは未確認ですが。また、この編成は当初8連で製造され、6連化の際に電動車ユニットの2両と付随車1両を第2編成に組み込み、1M方式の電動車1両を新造して組み込んだため、当初からあった5両と追加した1両とで車体の色艶に大きな違いがこの頃は見られたようです。写真の2両目だけ色が違って見えるのはそのためです。
 2000.8.7 東横・目黒線多摩川駅にて撮影
 3109以下6連です。8連化の改造を受ける直前頃の姿になるかと思います。まだ3色LEDの行先表示器でした。
 2022.4.30 東横・目黒線新丸子駅にて撮影
 8連化された後の3804以下8連です。8連への組み替えの際に、車号の付番方法も変更されたため、元々は3104号車だった、日吉・新横浜・相鉄線側の先頭車は3804号車へと改番されたのでした。また、4両目と5両目が8両化の際の新造車で、5000系列の車体が新造されたことから、若干の窓の位置の違いなども見て取れるかと思います。車体や屋上の冷房装置などがきれいに見えるのは言うまでもありません。その他、8連化の頃に行先表示器のLEDが3色からフルカラーに変更されています。
 2023.3.25 東横・目黒線多摩川駅にて撮影
 登場からそれほど経っていない、6連の頃の3213号車から3013号車方向の室内です。この頃には、3000系の座席は本当にクッションが効かない、過度に薄っぺらい座席だった覚えがあります。基本的には、2000年頃に登場した車両らしい室内なのではないでしょうか。
 2004.11.14 東京メトロ南北線白金高輪駅にて撮影
 8連化される直前の頃の、3212号車(目黒方から3両目)から3112号車(日吉方先頭車)方向の室内です。一番の違いは、ドア上の表示器がLEDから液晶に変更されている点でしょうか。座席の色は同じですが、この頃になるととんでもない薄さではなくなった車両が大部分みたいです。
 2023.2.15 目黒線日吉駅にて撮影
 8連化時の増結車である3406号車(T車)から3106号車方向の室内です。室内についても、この時期の5000系列と同様の構造、色使いになっているのがわかると思います。
 2023.2.23 東横・目黒線日吉駅にて撮影
 3201号車(6連時代)のVVVF装置です。量産先行車のものということになりますが、量産車も特に違いはないようです。この写真でいうと、パワーユニットの一番左側から2個モータ分のU相用、V相用、W相用、別の2個モータ分のU相用、V相用、W相用と続き、この側面に見える分でモータ4個分となり、裏側にも同じものがあるためM車2両分8個のモータが制御できるインバータとなります。1M車にはこれが片側の側面だけに見えることになります。
 2000.8.31 目黒線不動前駅にて撮影
 3203号車(6連時代)のVVVF装置です。3201号車のものと特に違いはないと思います。運用開始から間もない時期の撮影ですので、本当にきれいな状態でした(当時のフィルムカメラに安物フィルムでは画質がそうは感じさせてくれませんが…)。
 2000.8.31 目黒線不動前駅にて撮影
 3205号車(6連時代)のVVVF装置です。上の3201、3203号車の写真とは反対の側面からの撮影です。このように、パワーユニットとゲート制御部の位置関係が逆転しています。
 2000.8.7 目黒線奥沢駅にて撮影
 こちらは東芝製のインバータである3402号車(6連時代)の装置です。東芝製の場合はパワーユニットのカバーがUVWの3相分を1つにまとめた形状ですので、1ブロックで2個モータが制御される構成となります。また、網の中には白っぽい箱と、縦に並ぶボルトみたいな突起が見えており、JR東海313系などもそうですが、東芝IGBTの特徴ですね。
 2003.11.1 都営三田線志村検修場にて撮影(一般公開時)
 同じく東芝製のインバータである、3212号車(6連時代)の装置です。上の写真と反対の側面で、運用開始から間もない、きれいな状態での撮影です。日立車と同様に、パワーユニットとゲート制御部の位置関係が入れ替わっています。
 2000.8.7 目黒線奥沢駅にて撮影
 3262号車(6連時代)のSIVです。東芝製で、INV127-B0形となります。IGBTを用いた210kVAの装置だそうです。5000系列にも似た形状のSIVが採用されているし、東芝製のSIVとしてはかなり多数派を占める形状なのではないかと思います。
 2000.8.7 目黒線奥沢駅にて撮影
 3205号車(6連時代)の動台車です。TS-1019形で、軸梁式のボルスタレス台車となります。
 2000.8.7 目黒線奥沢駅にて撮影

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