・209系500/950番代

クハ209-502以下10連  1998年末、中央・総武線での103系の相次ぐ故障に対し、原因を同車の老朽化にあるとして早急に置換えを図るために、新津車両製作所で製造中だったE217系の構体を活用して幅広車両、500番代が製造されました。こちらは主要機器は209系やE217系に準じた仕様とされましたが、ほぼ同じ頃(厳密にはこちらが早い)、新技術を取入れさらなるコストダウンを図り、通勤形、近郊形どちらにも使用できる汎用形式の試験車として、950番代が1本試作されました。
 950番代では制御装置にJR東日本の普通系車両では初めてのIGBTインバータを採用したこと、制御伝送システムを発展させた車両情報管理装置(TIMS)を採用したことなどが特徴となっています。
 500番代は習志野電車区に、950番代は三鷹電車区に配属され、共に中央・総武緩行線で活躍しています。
1999.1.4 総武本線千葉駅にて撮影
 500番代走行音[209-5a.ra/242KB] 直接再生
 500番代は基本的に0番代と同じタイプなのですが、少しだけ音の上がり方が速くなったように感じられます。雨の日も滅多に空転しないという話も聞いています。違いといったらその程度なのですが、後は、0番代最終グループで「ファン、ファン」などと鳴っていた代わりに、この車両ではもっと高い音が少し聞こえてくるようです。
 録音は総武緩行線両国→錦糸町間です。
 500番代走行音(勾配起動)[209-5b.ra/161KB] 直接再生
 これは御茶ノ水→秋葉原間で録ったものなのですが、御茶ノ水を発車するときはご存知のように東京に向かう快速線をオーバークロスするためホーム途中から登り勾配になり、しばらくは急な上り坂を走ることになります。この区間では本当に苦しそうな音をたてていました。他には四ツ谷発車時や、西行の代々木発車時なども同じような条件になります。
 950番代走行音(日立)[209-95ha.ra/255KB] 直接再生
 950番代では951番のユニットには日立製の高耐圧IGBTによる2レベルインバータ、952番のユニットには三菱製の低耐圧IGBTによる3レベルインバータが搭載されていて、この音は前者のものです。この車両の量産車にあたるE231系では近郊形モデルにこのインバータが搭載されることとなったようです。この2レベルインバータというのは、最近やたら目に付くようになりましたが、実際のところはGTOインバータの頃には主流だったタイプで(209系は例外的に3レベルでしたが)、架線とモーターの間、モーターと接地側の間に入る素子がそれぞれ1個直列に入るだけという、極めて単純な構成のものを言います。この951番ユニットの場合、耐圧、容量とも非常に大きいものであるため、従来のGTOインバータ並の単純な構成になっているものと思われます。
 そしてその音ですが、非同期モードが非常に長くなったのが分かると思います。また、タイプとしても今までにないタイプの非同期モードで、日立IGBT第4代の音と言っていいと思います。
 録音は総武緩行線市川→本八幡間です。
 950番代走行音(三菱)[209-95ma.ra/238KB] 直接再生
 こちらは952番のユニットで、三菱製3レベルインバータを積んだ車両です。3レベルインバータというのは、209系0番代でもそうだったのですが、上記の、1個直列に入れるだけだったスイッチング素子を、低耐圧のものでいい代わりに2個直列に入れるというものです。つまり、2レベルでは1500Vの電圧に一個の素子で耐えなければならなかったのが、3レベルなら1個あたり750Vの電圧に耐えればいいということになります。もちろん、倍の数の素子を使うことになるのでそれによるコスト増も考慮する必要があるということになるわけです。
 この車両の音についても、非常に珍しいものとなりました。2レベルインバータが開発された後に使用されている3レベルインバータなわけですが、世代としては2レベルインバータのものと同じグループにしても問題はないと思われ、三菱IGBTとしては第4代目の1つのタイプということになるのでは、と考えられます。
 録音は中央緩行線吉祥寺→西荻窪間です。
・その他の写真
 1999年度に製造された500番代車で、クハ208-511以下10連です。1998年度には9本が製造されているので、第10編成からがこのグループになるのですが、屋上の様子に注目してみましょう。パンタグラフがシングルアーム式になっているのがどうにか分かると思います。外観上ではそれだけですが、他にもドアエンジンの細かな改良などが行われているようです。
 2000.2.4 中央本線中野駅にて撮影
 950番代の、クハ209-951以下10連です。上にある0番代と比べて、前面が銀色になっていることや、乗務員室の扉が黄色に塗られていること、6扉車が組み込まれていることが外観上の特徴となっています。
 1999.1.4 総武本線錦糸町駅にて撮影
 500番代車両(モハ209-532)のVVVFインバータ装置です。0番代と特に違いはありません。登場間もない頃の撮影のためきれいな状態だったという程度です。
 2000.4.3 中央本線御茶ノ水駅にて撮影
 モハ209-951の日立製VVVFインバータ装置です。0番代や、同じ950番代の三菱製と比べても若干コンパクトになったという印象を受けます。形はやっぱり日立的ですね。
 1999.3.27 中央本線三鷹駅にて撮影
 モハ209-952の三菱製VVVFインバータ装置です。この形に関しては他に同じタイプというのを見たことがありません。そう言えば920番代や0番代というのも妙に独特なものだったなぁ、というのを考えると・・・。
 1999.3.27 中央本線三鷹駅にて撮影


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