・8000系(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
「しおかぜ12号」8501以下8連
分割運転中止時の「しおかぜ12号」の8501以下8連(S1+L4編成)
2017.1.1 予讃線丸亀駅にて撮影
 1993年の松山電化開業に向け、岡山〜松山間の「しおかぜ」と高松〜松山間の「いしづち」を電車化することを目的として1992年に試作車が、1993年に量産車が製造された特急形電車で、2000系に続く制御付自然振子式車両となりました。
 ステンレス車体で制御方式はVVVFインバータ制御が採用されました。試作車では2両ユニットのモータ8個を一括制御する方式の2M1T編成、量産車では個別制御方式が採用され、基本編成は2M3T、付属編成は1M2T編成となり、試作車よりM車比率が下げられています。。
 編成は5両と3両に別れ、松山方から8000(Thsc)-8100(M)-8150(M)-8300(T)-8400(Tc)+8200(Mc)-8300(T)-8500(Tc)となっています。ちなみに、試作車込みの3連は8201(Mc)-8101(M)-8501となっています(8101と8201が試作車、8501は量産車で、試作車の残り1両はL1編成松山方方の8001)。1998年3月と2014年3月のダイヤ改正で2回の方向転換が行われており、岡山・高松方に5連を向かせていた時代は、分割併合に伴う時間ロスを避け、岡山〜松山間の列車の所要時間を数分でも短縮しようという狙いがあったようです。結局2000系で運用される列車との編成の向き(グリーン車の位置)の統一なども必要なため、元の向きに戻りました。
 量産当初はL編成5連が5本(L1、L3〜L6)、4連1本(L2)、S編成3連が5本(S1〜S5)の44両が揃えられました。1997年にL2編成用のT車とS6編成が増備され、5+3連が6本の48両体制となりました。
 2004年〜2006年には各編成の指定席車両の座席交換や外板のデザイン変更を伴うリニューアル工事が実施されました。2010年からは一部のS編成を2連化した運用もあります。
 2017年度には8600系の増備に伴いS1編成の3両が当系列初の廃車となり、45両体制で「しおかぜ」「いしづち」に運用されています。
 試作車走行音(デッキ)[JS80s1ta.mp3/4.08MB]
 試作車では東洋電機製のGTOサイリスタによる1C8M方式のインバータが採用されていて、当然想像通りのパターンではありますが、特急用なだけあって起動加速度は高くはなく、1ノッチ起動をする阪急8300系のような雰囲気になっています。ただ、阪急8300系ほど非同期モードが長くはないようにも思われ、東武20050系あたりと非同期の終わるタイミングは同じかもしれません。回生ブレーキではなく発電ブレーキであるため、減速時の音は非常に物足りないです。また、加速時にはところどころで東芝モーターの(?)「ヒュオーン」というような甲高い雑音が入ります(東洋でもそういう例があるのでこれだけではモータのメーカーは特定できないですね)。
 ちなみに、速度向上試験で160km/hをマークしたのはこの車両を含む当時の試作車編成だったそうです。
 録音は「いしづち15号」坂出→宇多津間です。
 試作車走行音(車体中央)[JS80s1tb.mp3/16.3MB]
 試作車のVVVF装置付近の車内での録音です。京急600形や1500形(1700番代)等の1C8M東洋車でも似たような音は聞こえますが、この車両は特別ですね。減速時も発電ブレーキが効いている間は同じようにバリバリ鳴っていますね。
 録音は「しおかぜ19号」新居浜→伊予西条→伊予小松(運転停車)→壬生川間です。
 試作車走行音(客室、主電動機更新後)[JS80s1tc.mp3/13.6MB]
 試作車のうち、主制御器を搭載しない電動車である8101号車の客室内での録音です。2015年に主電動機の更新が行われたそうで、それ以降の録音です(更新と言っても交換なのか、手の込んだメンテナンス作業なのか不明ですが…)。客室内で台車付近の席での録音になりますが、主制御器付近からのノイズがなく、純粋にモータで鳴っている音が聞こえる場所となります。主電動機更新による高速域の音の変化なども特にないのではと思います。
 録音は「しおかぜ・いしづち23号」多度津→詫間→高瀬間と、高瀬からの加速音です。
 L1編成(東洋)走行音(客室)[JS80l1ta.mp3/28.0MB]
 量産車は東芝ベースの個別制御のインバータが採用されましたが、実は東洋電機製も存在するどころか、東洋電機製の方が多数派です。でも聞けば分かるとおり、東芝製と何が違う?ということになってしまいます。ただ、サンプル数が少ないので断定はできませんが、東洋車の場合、L編成かS編成かを問わず、加速時の非同期モードの直後2つほどのパルスモードの「伸び」が小さく、特に非同期の3つ後のパルスモードの始まりがかなり低い音になることがあります(このファイルだと13分20秒頃に発車する高瀬駅からの加速が該当します)。
 L編成ではL1〜L3編成の3本が東洋製のインバータを搭載しています。
 録音は「しおかぜ27号」多度津→詫間→高瀬→観音寺→川之江間です。
 S4編成(東洋)走行音(デッキ)[JS80s4ta.mp3/3.73MB]
 S編成の東洋電機製インバータ搭載車をデッキで録音しました。この頃は特急車はデッキで録音するものと思っていたのでデッキで録っていますが、8000系は客室で普通に非同期モード含めきちんと走行音が聞こえてくるんですよね…。
 L編成とS編成の走行音を個別に聞いても特に違いは感じないのですが、車外で起動音などを聞くと、L編成とS編成でVVVF音がかなりずれていたりします。MT比の差による負荷の違いなどあるんでしょうかね。
 S編成ではS2〜S5編成と、ほとんどの編成が東洋製のインバータを搭載しています。
 録音は「しおかぜ・いしづち8号」伊予三島→川之江間です。
 S4編成(東洋)走行音(客室)[JS80s4tb.mp3/27.1MB]
 同じくS4編成の客室内での録音になりますが、こちらはS編成単独運転の列車になります。この録音ではあまり「伸び」の小さい音で加速する傾向は出ていません。
 録音は「いしづち29号」高松→坂出→宇多津→丸亀→多度津間です。坂出から丸亀にかけては先行列車(併結相手のしおかぜ号)に追いついてしまい、あまり速度が出ません。丸亀からは一旦まともに加速しますが、やはり早めに減速してしまいます。それにしても車掌さん、滑舌悪すぎだし放送の音量大きすぎです…。
 S5編成(東洋)走行音(客室)[JS80s5ta.mp3/13.8MB]
 S5編成の客室内での録音です。5分15秒頃に発車する川之江の加速ではやや「伸び」の小さい音になっていました。分岐制限を受けない場所で高いノッチで加速するとそうなるんでしょうかね…。イマイチ分かりませんが。
 録音は「しおかぜ・いしづち30号」伊予三島→川之江→観音寺間です。
 S5編成(東洋)走行音(客室)[JS80s5tb.mp3/3.38MB]
 同じくS5編成の客室内での録音で、複線区間になります。ノッチを絞っての起動のようで、そのせいかどうかはわかりませんが、きっちりと「伸び」のあるパルスモードが続いていました。減速時はS6編成の専売特許ではと言いたくなるくらいはっきりとした発電ブレーキの音が聞こえてきます。
 録音は「しおかぜ・いしづち14号」多度津→丸亀間です。
 S2編成(東洋2連)走行音(客室)[JS80s2ta.mp3/17.3MB]
 こちらは閑散期に実施されている2連化されたS編成での録音です。この運用は、8600系にグリーン車付編成ができたことで該当運用を8600系に変更のうえ、終了となっている可能性が高いです。
 T車を抜いて2連化しているため、M車比率が高くなり、力を出さなくても必要な加速力が得られる、ということになります。そのためすべり周波数制御の理論から言えば、パルスモードを進めるペースは遅くしてもいいのですが、寧ろ「伸び」がやや短めの加速をしており、逆なんですよね…。この手の個別制御にはかなり気まぐれな面も見られるので本当に分かりませんね。
 録音は「しおかぜ・いしづち6号」壬生川減速→伊予西条→新居浜間です。
 L4編成(東芝)走行音(客室)[JS80l4sa.mp3/12.3MB]
 東芝製のインバータを積むL4編成の客室内での走行音です。L編成ではL4〜L6の3編成に東芝製インバータが積まれています。
 この走行音では、川之江の加速時に、S2編成の録音と同じ程度に「伸び」の短い状態があったようです。その辺りも含め、特に東芝製だから特別違うというようなことも、やはりないみたいです。
 録音は「しおかぜ・いしづち23号」観音寺→川之江間と、川之江からの加速時です。
 S6編成(東芝)走行音(客室)[JS80s6sa.mp3/9.06MB]
 3連では唯一S6編成のみが該当する東芝製インバータ搭載車の走行音です。各パルスモードとも、よく伸びている感覚があります。減速時は、非同期モードの音が大きく、はっきり聞こえる傾向にあるというのがこの編成の特徴だと思っているのですが、この走行音ではちょっと違っていたみたいです。特に丸亀の減速はかなり早い段階で発電ブレーキが切れてしまっていました。宇多津も分岐器通過後のブレーキでは発電ブレーキが効いていないですね。
 録音は「しおかぜ・いしづち14号」多度津減速→丸亀→宇多津間です。
 S6編成(東芝)走行音(デッキ)[JS80s6sb.mp3/3.76MB]
 同じS6編成でデッキでの録音になります。こちらも加速音はよく「伸び」ていますが、すぐにポイント通過のためノッチオフしてしまいます。減速時は、一応この編成らしいと言っていいと思うくらいには発電ブレーキの音が聞こえています。
 録音は「しおかぜ・いしづち26号」多度津→丸亀間です。
 S6編成(東芝)走行音(デッキ)[JS80s6sc.mp3/6.13MB]
 同じくデッキでの録音です。L編成と分割しS編成単独になった直後の録音ですので、1ノッチ起動後にすぐノッチオフするところからスタートします。やはり減速音は大きめに聞こえます。
 録音は「いしづち26号」宇多津→坂出間と、坂出からの加速時です。
 いしづち29号高松停車中自動放送(旧)[8000iza.mp3/817KB]
 登場時仕様かどうかは不明ですが、2004年時点での自動放送になります。2000系気動車とは少し雰囲気が違いますが、似たようなタイプの自動放送だったと思います。始発駅の停車中は、このような自動放送が3分くらいの間隔で流れます。
 いしづち29号高松停車中自動放送(新)[8000izb.mp3/884KB]
 2014年の再度の方向転換辺りのタイミングで自動放送が更新されたとの情報もあります。それ以降での録音になります。完全な合成音声なのだと思いますが、ところどころ「不自由な日本語」と表現したくなる不思議なイントネーションが混ざっています。チャイムは少し高音質になった感じですが、放送は少し暗い雰囲気になってしまったと思います。
 旧タイプの録音と同じ「いしづち29号」である点は単なる偶然です(笑)。
 しおかぜ・いしづち3号松山終着放送(肉声)[8000ska.mp3/1.43MB]
 こちらは自動放送が録音できることを期待して構えていたら車掌の肉声放送だけになってしまった、というパターンです。自動放送更新後ですので、やはりチャイムは少し高音質になってる感じがします。

・その他の写真
 試作車で非貫通形先頭車の8001以下8連です(L1+S5編成)。撮影した列車は「しおかぜ11号」でした。特徴は連結器の格納部分が開閉式となっている点で、中央で分割されているのが分かると思います。
 本州内での撮影で、通常は5両編成だけが入線しますが、ゴールデンウィーク期間でもあり、多客対応で分割運転を中止しており、8両編成のしおかぜ号として岡山直通になります。
 2018.5.5 JR西日本宇野線備中箕島〜早島間にて撮影
 8003以下8連(L3+S3編成)の「しおかぜ9号」です。この8両は「アンパンマン列車」となっています。
 2018.5.5 JR西日本宇野線備中箕島〜早島間にて撮影
 8206以下3連(S6編成)の「いしづち16号」です。普段中間に入る先頭車はこのように、完全な切妻形になっています。
 2005.12.30 予讃線丸亀駅にて撮影
 8201以下3連(S1編成)の「いしづち102号」です。松山付近での切妻先頭車の営業運転は朝晩のいしづち号くらいしか見る機会がないのではないでしょうか。後打ちの写真になりますが、手前の2両が試作車となります。
 2017.1.2 予讃線松山駅にて撮影
 8501以下8連(S1+L5編成)です。S1編成は原色、後のL5編成はリニューアル後の編成でした。S1編成は切妻形先頭車の8201と中間電動車8101の2両が試作車で、写真の先頭車8501は量産1次車でした。残念ながら本系列最初の廃車車両となってしまいました。
 2005.12.31 予讃線松山駅にて撮影
 8005以下8連(L5+S3編成)の「しおかぜ12号・いしづち8号」です。岡山方の回転を早めるために高松・岡山方にL編成を配していた時代で、かつ原色の時代になります。編成の分割も宇多津で実施していたということになります(時期によって多度津であったり、結構何度も変わってます)。
 2002.7.21 予讃線丸亀駅にて撮影
 8402以下5連(L2編成)の「しおかぜ13号」です。原色時代の切妻先頭車ということになります。この撮影の頃はこの切妻の車両が先頭で四国に渡り、いしづち号の後に連結して松山まで向かっていました。
 2002.7.21 JR西日本岡山駅にて撮影
 8201号車(S1編成の現6号車)の、原形時代の室内です。割と無難な、大きな特徴もない特急車の室内なのかな、と思ってしまいます。
 2004.1.1 高松駅にて撮影
 8501号車(S1編成の現8号車)の、原形時代の室内です。8201号車の室内と微妙に色が違うようにも見えますが、確か同じ色で、デジカメのホワイトバランスによる写り具合の差だったと思います(良く覚えていないというのもあるけど…)。
 2005.12.31 予讃線松山駅にて撮影
 8206号車(S6編成の現6号車)の、原形時代の室内です。製造年次が違うにしても、極端な差はなかったと思います。
 2004.1.1 高松駅にて撮影
 8506号車(S6編成の現8号車)の、リニューアル後の室内です。通常指定席として運用される、L編成1〜3号車とS編成8号車がリニューアルされており、室内の雰囲気は大きく変化しました。
 2005.12.30 予讃線多度津駅にて撮影
 8104号車(L4編成の2号車)の、リニューアル後の室内です。1号車の普通室と8号車はオレンジ色のシートですが、2号車はこのように青いシートになっています。3号車は忘れましたが、オレンジにして号車ごとに交互に配置していたような…。
 2017.1.2 予讃線松山駅にて撮影
 8005号車(L5編成の1号車)の、リニューアル後のグリーン室内です。グリーン車はリニューアル後しか室内写真を撮っていませんので比較はできませんが、普通指定席車とコンセプトは統一されているのではないかと思います。
 2017.1.2 予讃線松山駅にて撮影
 試作車8201号車のVVVF装置です。東洋電機製1C8Mタイプの典型ですね。8000系としてはこれ1両しか存在しない貴重品ですが、全国のVVVF制御車の中で見ると東急1000系に始まり、京急1500・600形や京成3700形、東武20050・9050系、相鉄9000系等、ほぼ同一形状の装置が山ほどあったりもします。
 2017.1.2 予讃線松山駅にて撮影
 量産車のうち、8202号車(S2編成6号車)のVVVF装置で、東洋製になります。一般的な東芝のGTO個別制御の装置と特に差は見られません。L編成が松山方、S編成が高松方の編成においては、L編成のVVVF装置は南側、S編成のVVVF装置は北側の側面に見えます。
 2017.1.1 予讃線丸亀駅にて撮影
 量産車のうち、8104号車(L4編成2号車)のVVVF装置で、東芝製になります。東芝の専売特許だったGTO個別制御なのに共通設計の東洋の方が多いという矛盾が…。
 2017.1.1 予讃線丸亀駅にて撮影
 試作車8201号車の台車です。振り子式ですので、台車枠の中央部分で大きく下に下がるような形状になるなど、複雑化しています。
 2017.1.2 予讃線松山駅にて撮影
 量産車8151号車(L1編成3号車)の台車です。基本構造は試作車とそうは違わないのだと思いますが、思ったより差があるようですね。試作車にレール吸着ブレーキなどの特殊装備があったせいかもしれませんが、詳しくは分かりません。
 2016.12.31 予讃線丸亀駅にて撮影

前のページに戻る