・関西電力300形(画像をクリックすると更に拡大画像が見られます)
307
「トロバスラストイヤー」ラッピングされた301号車
2018.11.20 扇沢駅にて撮影(ツアーでの車庫内撮影許可エリア)
 1993年、扇沢〜黒部ダム間の関電トンネル区間を走るトロリーバスの新車として登場しました。従来のトロリーバスが経年20年以上となっていたこと、トロリーバスの開業から30年の節目に当たることなどから、別の輸送形態への転換も含めて置換えの計画が立てられたそうですが、結果としてはVVVFインバータ制御を採用した新車への更新が実施されました。
 トロリーバスも法規上は鉄道であり、車体構造は鉄道と同等とされていますが、外観はどう見てもバスであり、艤装スペースも当然鉄道と同じようには確保できません。そこで通常床下に装備するVVVF装置は後部座席の下に収納されるなど、様々な工夫がなされています。また、架線の設置されていない区間を走る際はバッテリーの電力を使用するものの、パワーステアリングの採用などで使用電力量が増えているため、バッテリーの容量は従来車よりも増強されています。
 1996年までに15台が製造され、全車両が20年以上活躍を続けてきましたが、後継車両の登場とはならず、電気バス(バッテリー式のバス)への転換が決定し、2018年11月末をもって300形全車両が引退し、トロリーバスでの運行路線自体が一般的なバス路線扱いへの転換となりました(冬季は運休のため2019年度からバス路線として運行開始)。
 走行音[kdn300a.ra/484KB]
 関西電力300形の走行音です。東芝製のGTOインバータが使用されており、特に非同期モードの音は鉄道用と全く同じようです。その後については加速力がありすぎて、どのような変化をしているのかはっきり聞き取れないですね…。JR西日本向けの個別制御車と比較的似てる気はしますがね。ブレーキについては発電ブレーキであるためか、それほど音の変化の激しいものではないようです。
 この車両に関しては、東芝モータらしく、比較的「ヒュンヒュン」という甲高い雑音がよく聞こえています。
 録音は松井さん提供で、信号場→黒部ダム間です。
 走行音(モータ付近)[kdn301a.mp3/13.5MB]
 走行音(最後部)[kdn301b.mp3/13.5MB]
 こちらは、(株)関電アメニックス 北アルプス交通事業部主催の、VVVF音の録音を主目的としたツアーにて貸切のトロリーバスで録音した走行音になります。モータ付近と、VVVF装置に近い最後部の2ヶ所で録音をしましたが、さすがに大した電流値ではないのか、VVVF装置付近でバリバリと鳴ったりすることはなく、ほとんど差がありません。
 高速域の走行音は、ゴムタイヤということもあって新交通システムと同じような響きになります。しかし、新交通でGTOのVVVF制御を採用した車両が国内になく、結果として独特な走行音となります。
 また、以前から掲載している走行音と偶然にも同じ車号での録音となりましたが、こちらの録音の時点では「ヒュンヒュン」の音はほとんど聞こえてきません。途中の信号所で行き違う別の車両からよく聞こえてきたりしますが…。
 ちなみに、架線と接続していない状態(車庫内など)でのバッテリー走行だと、VVVF音は全く聞こえてきません。このツアーでは復路の乗車後、乗っていた車両が扇沢の降車ホームからバックで車庫に移動していましたが、無音と言っていいくらいでした。バッテリー走行ではパワーがないそうです。
 録音は扇沢→信号場→黒部ダム間です。
・その他の写真
 登場から10年も経たない頃の、通常の姿である307号車の写真です。
 2001.9.22 扇沢駅にて撮影<松井さん提供>
 こちらは304号車で、右前方(運転席側)からの構図になります。よく見ると、こちらの側面にはラッピングがないんですね。乗車、降車のホームから見えないから、ということでしょうかね。ちなみに、正面のライトの間には黒い横線が2本、側面の前半分には4本描かれています。これは「くろよん」を意味しているらしく、歴代のトロリーバスにも、今後導入される電気バスにも描かれています。
 2018.11.20 扇沢駅にて撮影(ツアーでの車庫内撮影許可エリアにて)
 こちらは305号車で、右後方からの撮影になります。ラストイヤーラッピングされた車両ではありますが、この向きだと全く見えないんですね。
 2018.11.20 扇沢駅にて撮影(ツアーでの車庫内撮影許可エリアにて)
 「トロバスラストイヤー」ラッピングの308号車と309号車です。全車がラッピング車になっていて、最後の時期に初訪問しても、残念ながら普通の姿を撮影することはできませんでした。
 2018.11.20 黒部ダム駅にて撮影
 312号車の左後方からの撮影になります。新形の電気バスと並べて展示されていましたので、電気バスも後方が少し見えています。
 2018.11.20 扇沢駅にて撮影(ツアーでの車庫内撮影許可エリアにて)
 304号車の室内です。普通のバスよりしっかりとした椅子だという話しもありますが、レイアウトはやっぱりバスですね。通路側の肘掛けは跳ね上げ式になっているようで、上がっていたり下がっていたり、マチマチです。また、都市部の路線バスはノンステップかワンステップしか見かけなくなってしまった時代に、ツーステップのバスというのも、それだけで懐かしさのようなものを感じてしまいます(学生時代は当たり前にツーステップのバス使ってましたが)。
 2018.11.20 扇沢駅にて撮影
 参考までに、こちらは2019年度から運用される電気バスになります。2016年度からのいすゞエルガ(もしかしたら日野車だったかも…)そのものですね。とは言っても、いったん普通のバスとして製造されてから電装化の改造をされた扱いになっているそうです。
 2018.11.20 扇沢駅にて撮影(ツアーでの車庫内撮影許可エリアにて)
 電気バスになって5年目のシーズンですが、関電トンネルの旅客営業から60周年なのだそうで、1009号車がそのラッピングしゃになっていました。
 2024.9.6 扇沢駅にて撮影
 同じ1009号車の左後方からの撮影です。少々被写体ブレをしておりますが、雰囲気は伝わるかと…。
 2024.9.6 扇沢駅にて撮影

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